ネズミの被害にはダニ刺されやアレルギーも
ネズミの被害は、食べ物が荒らされたり建物が破損させられるだけではありません。ネズミに住み着いているダニや病原菌が持ち込まれると、人間やペットにアレルギーなどの健康被害を及ぼす恐れがあります。
突然ダニに刺されるようになって原因がわからなかったが、ネズミが原因だったということもあります。また、ネズミに噛まれると重篤な症状を引き起こすこともあります。
トラブルから家族の健康を守るためにも、ネズミによる被害について知っておきましょう。
目次
ダニの発生源はネズミ?
ネズミは人間に二次的な被害も及ぼす害獣です。ネズミによる被害でもダニの被害は一般的です。ネズミには無数のダニが寄生しているため、ネズミが家の中に侵入するとダニの発生原因になります。
主にネズミに寄生しているダニは「イエダニ」と呼ばれるダニの種類で、ネズミの巣の中や皮膚に寄生しネズミの血を吸って生きています。
ネズミが室内にダニが持ち込んだ場合、ダニを駆除する前にネズミの駆除を行わないと、ダニの発生が繰り返されてしまいます。
最も被害件数が多い「クマネズミ」の場合、主に天井裏を住処とします。天井裏を点検する時は、高い場所、暗い場所ですから十分に安全を考慮して行なってください。
クマネズミは警戒心が強く、存在自体が確認できないこともあります。姿が見えなくても「ラットサイン」が確認できたら、駆除機を使う方法が効果的です。
ネズミを駆除しないとダニも放置することに
ネズミを駆除せず放置すると、体に寄生したダニを天井裏や壁内などにばらまいてしまいます。
ネズミの行動範囲(ダニがばらまかれる場所)の多くは暗く湿った場所です。ダニが好む条件とも一致しています。特に6月~9月の3ヵ月間はダニの繁殖スピードが早いため被害が拡大します。
ネズミを放置すると危険
・最も一般的で目に見える被害は
伸び続ける前歯を研磨するため、ネズミはものをかじります。人家では電化製品のケーブルなどをかじられてしまう恐れがあります。天井裏や壁内では、柱などの木材を噛むことで前歯の手入れをします。
電源などのケーブルをかじってしまい、電線がむき出しになると危険です。ブレーカーが落ちるならまだ良いですが、漏電してしまうと火災を起こす恐れもあります。
・病原菌を室内にばらまかれる
ネズミはダニだけでなく、サルモネラ菌などの病原菌を持っています。室内を走り回ったり糞をすることで室内にサルモネラ菌をまき散らし、人間が食中毒を起こすリスクを高めます。
ダニの行動範囲や人への影響
・居住空間に住み着くダニ
ネズミは壁内の断熱材を破いて巣を作ることがあります。コンセント穴と密接している断熱材に巣を作られると、コンセントの穴からダニの侵入を許すことになります。
ダニが室内に侵入すると、室内のソファーやベッドなどを中心に繁殖します。ソファーやベッドに棲みついたダニは、人の足や腕から吸う血を餌にします。
・ダニがペットに寄生する
侵入したダニは人間だけでなくペットにも寄生して吸血します。ペットを飼っている家庭では、室内にダニがいることが分かり次第、動物病院などでノミ・ダニの駆除剤を投与してもらいましょう。
ダニは皮膚が柔らかい場所に寄生しやすいため、ペットがかゆがっていたら耳の中や腹部付近も確認してみましょう。
ネズミを放置するとネズミ被害だけでなく、ダニの被害が拡大してしまう恐れがあります。二次被害を防ぐためにも、ネズミが侵入している場合は放置せず、最優先で駆除対策を行いましょう。
この症状はダニが原因かも
ダニに刺されると、非常に強いかゆみが伴います。刺された部分はダニの種類によって症状が違い、赤くなったり、しこりや水膨れなどを起こします。10日間前後のかゆみが続くこともあります。
ダニに刺されても、かゆみは8時間以上経過しないと発生しません。刺された瞬間にダニの存在に気付くことは困難です。
室内で人を吸血するダニは「イエダニ」と「ツメダニ」に分かれますが、ネズミに寄生しているダニの多くはイエダニです。
刺された際の症状が異なるため、以下を参考にして、ダニの種類や発生原因を突き止めましょう。イエダニだと判断できる場合、ネズミが侵入している可能性も視野に入れることが大切です。
イエダニに刺された際の症状
イエダニは5~9月が主な活動期ですが、ネズミが住宅の周辺にいる場合、冬でも発生する可能性があります。
イエダニは血管が集中している場所に数か所まとめて刺すことが多く、刺されると水疱やしこりができるなどの症状が特徴です。
10日前後はかゆみが続いてしまうため、長い間不快な思いをすることになります。ネズミが原因の場合、ネズミの駆除を優先しないとダニの被害をなくすことはできません。
ツメダニに刺された際の症状
ツメダニは人間の皮膚が柔らかい部分から血を吸います。服を着ている上から刺された場合ツメダニの可能性が高く、柔らかい部分が刺されやすい傾向があります。
ツメダニに刺されやすい体部
- 腕の内側
- わきの下
- 腹部
- 太もも
- 二の腕
ツメダニは夜間に活動しますので、朝起きてかゆみが発生していたらツメダニを疑いましょう。
室内で人間を刺すダニには、ネズミに寄生している「イエダニ」と、ネズミと関係が薄い「ツメダニ」2種類のダニがいる可能性があります。
ダニに刺された症状だけではネズミが必ずいるわけではありません。刺された後の症状や吸血場所などからダニの種類と発生原因を判別しましょう。
ダニによるアレルギー
ダニに刺されるとかゆみだけでなく、さまざまなアレルギーを引き起こす危険があります。アレルギーとして代表的な花粉症(スギ花粉やキク花粉)は特定の季節に起こるものですが、ダニのアレルギーは季節を問いません。
アトピー性皮膚炎
ダニが原因でアトピー性皮膚炎になる可能性があります。ダニは畳に多く発生しやすいため、子どもがいる家庭では畳に直接寝かせないよう心がけてください。
アレルギー性結膜炎
ダニもアレルギー性結膜炎になる原因のひとつです。アレルギー性結膜炎は主に「ハウスダスト」が原因ですが、ハウスダストにダニが含まれています。
ダニの糞や死骸が目に入ったり、吸い込んだりすることでアレルギー性結膜炎になります。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎はアレルギー性結膜炎と同様、ダニの糞や死骸などから発症する可能性が高く、年間を通して起こるアレルギーとして知られています。
改善方法としては「ダニ予防寝具カバー」や「空気清浄機」を使用して空気をきれいに保ったり、棲息しているダニを死滅させることが効果的です。
ダニはさまざまなアレルギーを引き起こす可能性があります。ネズミの侵入によりダニの被害が起こってしまう前に、元凶となるネズミを駆除できるよう努めましょう。
ネズミに噛まれアレルギー症状が
・アナフィラキシーショック
アナフィラキシーショックは、食べ物を食べて起こすことが最も多いのですが、ネズミに噛まれても起こすことがあります。
蜂に刺されてアナフィラキシーショックを起こすことはよく知られています。ネズミでも同様です。
よく耳にするのが2回目に蜂に刺されたらアナフィラキシーショックになるという話です。しかし、一度目でも起こることもあり、アレルギー症状には個人差が大きいので一度目は大丈夫とは考えないようにしましょう。
アナフィラキシーショックを起こすと、意識の混濁を起こしたり呼吸困難を起こしたりします。最悪の場合死に至る可能性もあります。急いで救急車を呼ぶようにします。
・鼠咬症(そこうしょう)
鼠咬症は、細菌に感染しているネズミに噛まれることで発症します。健康なというとおかしい感じがしますが、健康なネズミでも細菌を体内に持っています。
ネズミに噛まれて数日から3週間で症状があらわれます。症状は多岐にわたり発熱、悪寒、頭痛、嘔吐、関節の痛みなどです。
ネズミに噛まれてしまったら、医師の診察を受ける必要があります。治療は抗菌薬を使って行われます。もし治療を受けなかった場合は、症状が数ヶ月間続くこともあります。
最悪の場合、心臓や脳などに影響し重篤な症状を引き起こす可能性もあります。必ず病院で治療を受けるようにしてください。
ネズミとダニの駆除方法
ネズミとダニには深い関係性があります。ネズミの侵入が原因で発生したダニは、元凶であるネズミを駆除して、被害を拡大させないよう努めましょう。
ネズミ駆除を行う際は、ダニも駆除しましょう。以下では、ネズミとダニそれぞれに有効な駆除方法をまとめました。
ネズミの駆除方法
・ネズミの好物である餌をなくす
ドブネズミやハツカネズミなどの家に侵入しやすいネズミは、エネルギーの消費が非常に激しく体重のおよそ3分の1の餌を毎日食べています。
ドブネズミやハツカネズミは2~3日餌を食べないと餓死しますので、餌になるものをなくし、ネズミの棲みにくい環境を作ることが重要です。
・ネズミの嫌いな音を利用する
ネズミは聴覚が鋭く、動物の中でもっとも優れていると言われています。20Hz~50Hz帯の周波数を聞き取れるため、超音波などの音が効果的です。
ただし、ハムスターなどを飼っている場合はペットにも悪影響が及ぶ可能性があるので注意しましょう。
ただし、一定の周波数のみしか発生させない駆除機ではネズミが慣れてしまいます。きちんと効果が認められた機械を使用しましょう。
・ネズミの嫌いな匂いを利用する
ネズミは嗅覚が敏感なため、刺激臭でストレスを与えることができます。たとえば、ミントなどのハーブを巣の近くや侵入ルートに仕掛けると、行動範囲を限定させたり退避させたりできます
。
わさびや乾燥させたトウガラシなどの刺激臭も嫌うため、ハーブの匂いが嫌いな方はこちらを使用しましょう。
また、忌避剤を使用する方法もあります。基礎内や屋根裏などに忌避剤を散布すると、ネズミが住み着いている場所からズミを追い払いやすく、ネズミが侵入しないためにも有効です。
・ネズミを物理的に捕獲する(捕獲ゲージ)
嫌いなものや忌避剤でも追い払えない場合は、物理的に捕獲する方法も効果的です。ネズミを捕獲するには捕獲ゲージや罠を使用しましょう。
ネズミの侵入経路が明確なら経路の入り口に捕獲ゲージを隠し、ネズミの餌となるもの(パンなど)を入れておきます。捕獲ゲージ設置後は最低でも数日間放置し、ネズミがかかるのを待ちましょう。
・ネズミを物理的に捕獲する(粘着シート)
捕獲ゲージ以外にも、粘着シートを使った捕獲も可能です。ネズミが通りそうな場所に粘着シートを仕掛けておきます。ネズミは夜行性ですから夜間に捕獲することになります。
・毒団子などの餌を仕掛ける
ネズミは警戒心が強いため、毒餌を食べない可能性があります。ポイントとしては、毒餌は数日放置し、ネズミに「安全だ」と思わせることがコツです。
毒の餌を食べた形跡があれば、ネズミを追い払えるまで毒の餌を仕掛け続けますが、なかにはクマリン系など毒に耐性がある個体も存在します。毒餌に耐性があるネズミ場合、駆除が困難な場合もあります。
ダニの駆除方法
・ダニシートで捕獲する
ダニシートは、ダニをおびき寄せて捕獲するシートです。ダニシートでの捕獲は、2~3週間の期間が必要ですから、薬剤などを使用しない駆除を行いたい方におすすめです。
ダニシートで捕獲に成功しても、繁殖を続けているダニを駆除するために継続して設置しておく必要があります。
ダニの種類によってはダニシートの効力を発揮できず、捕獲に失敗してしまうケースもあります。ダニシートによるダニ駆除を行う場合は、事前にダニの種類を把握した上で行いましょう。
・布団などはクリーニングやコインランドリーを利用する
ダニは熱によって死滅させることが可能です。クリーニングやコインランドリーの高温乾燥機を約1時間利用するとダニを駆除できます。
水洗いをしても生きているダニは流れていかないため、必ず高温にさらしてから洗濯するのがポイントです。
天日干しなども効果があると言われていますが、ダニは50度~60度以上の高温に1時間以上さらさないと死滅しないため、太陽光だけでダニを死滅させることは簡単ではありません。
まとめ
ネズミを放置するとどうなってしまうのか、症状や駆除方法などのポイントをおさらいしましょう。
- ネズミを放置すると、室内にダニが発生する
- ネズミを放置すると、室内にサルモネラ菌などの病原菌が発生する
- ネズミの駆除方法は、ネズミの棲みにくい環境を作ることが大切
- ダニが発生すると、手足などのかゆみだけでなく、アレルギー症状を引き起こす可能性がある
- ダニは天日干しや洗濯では死滅させられない
- ダニの駆除方法は、50~60度以上の高温に1時間さらすこと
ネズミは建物や人間に多くの被害をもたらしますが、放っておくとダニや細菌による二次被害を拡大させてしまう恐れがあります。
ダニが健康へ与える影響は大きく、生活していくうえで大きなストレスです。