ネズミ駆除には好物も把握
一般住宅で起こるネズミ被害の多くは「ドブネズミ」「クマネズミ」「ハツカネズミ」の3種類が原因です。
ネズミ対策を行うためには、ネズミが嫌がる超音波などの音、好物や嫌いな食べ物、匂いなどを把握しておく必要があります。
まず最初にネズミの被害を軽視してしまっていないか確認しましょう。
目次
ネズミの被害は軽視できない
ネズミの被害を軽い気持ちで考えていると、予想外に大きなトラブルに発展する可能性があります。
たとえば、床下の基礎の内側や天井裏にネズミが棲みつくと、糞尿で汚されるだけでは終わりません。
木造住宅では親柱や梁などをかじられてしまったり、断熱材を破いて住処にしてしまうケースもあります。
戸建て住宅では建物の老朽化にも影響します。恐ろしいことに建物の強度が下がる恐れもあります。我々が気づかない内に建物の価値が下がってしまうことにもなりかねません。
住処にされるだけでなく、次のような二次被害が発生する可能性もあります。
巣を作ることによるネズミの増加
基礎下や屋根裏に巣を作られてしまった場合、ネズミは非常に速いスピードで繁殖を繰り返し、被害を拡大させます。
「クマネズミ」の場合、夏に最も繁殖力が高まり、「ドブネズミ」は春と秋に繁殖力がピークに達します。
ネズミの種類によって繁殖時期にも違いがありますから、できるだけ種類を判断した上で対策を施すようにしましょう。
室内のコンセント穴からもダニが侵入
ネズミにはダニが寄生しているため、二次被害としてダニの被害に会う事があります。
壁の内側にネズミが棲みついてしまうと、コンセント穴などからもダニが室内に侵入します。居住スペースに入ってしまったダニは、人間の垢やフケを餌に繁殖します。
全てのダニが人を刺すのではありませんが、ネズミに寄生しているダニは人間を刺します。ダニに刺されると強いかゆみや痕が残ります。ネズミが侵入した場合、同時にダニの駆除も考えなくてはなりません。
ネズミに付着している菌は人にも悪影響
ネズミはダニだけでなく、食中毒の原因になる「サルモネラ菌」などの病原菌を持っています。
ネズミが室内を走り回ったり、糞をすることでサルモネラ菌は空気中に浮遊し、人体に感染するリスクが高まります。
とくに、台所にサルモネラ菌が浮遊すると料理に付着し食中毒の原因になります。食中毒のトラブルを防ぐためにもネズミ対策は重要です。
家電などのケーブル類が破損する
ネズミが室内に侵入してしまうと、家電製品などのケーブルを食いちぎってしまう可能性があります。
住宅設備にかかわるケーブルが破損すると、ブレーカーが落ちたり家電製品の故障にもなりかねません。リスクを下げるには、壁内にネズミを侵入させない工夫が必要です。
すでに侵入して被害を被っている場合は侵入経路を見つけ出し、効果的な駆除対策を実施していきましょう。ネズミが嫌がる音
ネズミはストレスに敏感な生物と言われ、聴覚は動物の中でもトップクラスです。この特性を利用し、ネズミの嫌いな音を使ってストレスを与えることで、住居からネズミを追い払います。
とくに、ネズミは人目につきにくい場所を住処としているため、住処や侵入経路を特定できない場合にも「音」は効果的です。
そこで、ネズミの聴覚を刺激できる「音」にはどのようなものがあるのか、以下で見ていきましょう。
超音波(超音波機器や超音波アプリを使用する)
ネズミはその聴覚の鋭さからネズミ同士の会話も超音波で行うと言われています。家にネズミが侵入してしまったら、「超音波機器」を試してみましょう。
動物が聞き取れる周波数には以下のような違いがあるため、ペットを飼っている家庭でも超音波機器の設置が可能です。
動物が聞き取れる周波数
- ネズミ…20Hz~50Hz帯
- 犬や猫…50Hz帯以上
ただし、ハムスターやリスなどげっ歯類の動物を飼っている場合、超音波が悪影響を与える可能性があります。使用する前に影響がないか調べる必要があります。
超音波機器の周波数は定期的に変えることが大切です。一定の周波数を流し続けると、慣れにより効果が薄れてしまう可能性があります。
超音波による駆除を行う際は、定期的に周波数が変わるものではないと定期的に手動で変更するのは大変です。面倒に感じず手動で変更すれば良いですが、最初だけでその場しのぎになります。
最近は、動物別に超音波の周波数を分けられるアプリなどもあります。しかし、調べた限り人間の可聴域でも聞こえる音を出すようで、本当にネズミが不快になる音が出ているのか不明です。
天敵の鳴き声を利用
ネズミに限らず天敵に対して動物はとても敏感です。警戒心が強いネズミにとって他の動物の存在は大きなストレスになります。
人目に付くような時間帯は隠れて過ごすことが多いですが、侵入ルートや壁内へ向かって天敵の鳴き声を流せば、大きなストレスを与えられる可能性があります。
ただし、長年棲みついているネズミは警戒心が薄れているため一度で追い払うのは困難です。音以外のストレスと組み合わせて対処することで効果的に駆除できます。
ネズミの天敵は?
自然界においてネズミの天敵は多く、なかでも猫はネズミの大敵として知られています。
ネズミの侵入経路や住処があるポイントに猫の鳴き声の音声を流すことで、ネズミに強いストレスを与えられる場合があります。
しかし、ネズミは一度退避しても餌場があれば再び寄りつく可能性があります。侵入口の封鎖など徹底した駆除対策も必要です。
猫以外にもネズミには以下のような動物が天敵です。
猫を含む肉食動物
キツネやタヌキ、アナグマやフェレットなどの哺乳類が該当します。ペットとしてフェレットを飼育している家庭ではネズミが出にくくなります。
警戒心が強いクマネズミやハツカネズミは天敵の存在を感じると退避する習性がありますが、気性が荒いドブネズミは飼っている猫やフェレットに向かっていく可能性もあります。
ワシやタカなどの猛禽類
ワシやタカ、フクロウなどの猛禽類は、自然界においてネズミの捕食者にあたります。フクロウの餌の6割はネズミ類と言われているため、フクロウの鳴き声はネズミにとって大きなストレスです。
フクロウなどの鳴き声をもとに開発した超音波機器も販売されているほど、フクロウはネズミにとって苦手な存在だと言われています。
ヘビなどの爬虫類
ヘビはネズミの捕食者にあたりますが、すべてのヘビがネズミを捕食するわけではありません。
ネズミは天敵となるヘビを嗅覚で判別し、危険を察知すると本能で逃げ出す場合があります。
天敵に該当しない小型のヘビは、ネズミが食べてしまう可能性があります。
ハムスター
ネズミは縄張り意識が強いため、ハムスターを飼育している住居には近づきにくいと言えます。
ハムスターがネズミを捕食するわけではないため天敵とはやや異なりますが、ネズミの被害に困っている場合は、ペットとしてハムスターを迎え入れることも一つの対策と言えるでしょう。
ネズミが嫌いな食べ物
ネズミは雑食性でさまざまな食品を口にします。嫌いな食べ物は基本的にありません。
ネズミの種類によって食性は異なりますが、果物や穀物類などの植物性食品だけでなく、昆虫など動物性のものも餌にしてしまいます。
しかし、強烈な匂いを持つ食品は好まない傾向にあります。たとえば、我々がネズミの大好物として認識している「チーズ」は、芳香性が強いことから実際は好んで食べることはありません。
これはネズミは非常に発達した嗅覚を持っていることや、糖分の多い食べ物を好むためです。
捕獲機などでネズミを捕獲駆除する場合は、設置する餌にチーズを使用してもあまり効果はありません。
ネズミが嫌いな匂い
ネズミは嗅覚が発達しているため匂いに敏感な生物であることを利用して、駆除を行うこともできます。ネズミが嫌がる「強い芳香性のあるもの」を配置することがポイントです。
ネズミは嫌いな匂いでも、人間にはさほど気にならない匂いで対策できます。室内あるいは住宅周辺のネズミ被害に悩んでいる方におすすめの対策のひとつです。
ハッカやミントなどの「ハーブ臭の強いもの」
ハッカやミントはネズミに対して退避効果があり、ハーブ系の忌避剤も販売されるほど効果が高いことで知られています。
ハーブ系の植物を屋根裏や基礎内に配置することで、ネズミのストレスを増大させ追い払うことも可能です。
ただし、ネズミが長年棲みついている場合は効果が薄くなる可能性もあります。追い払えない場合には他の対策を行う必要があります。
わさびやトウガラシなどの刺激物
ネズミの嗅覚には、わさびの匂いも刺激臭として伝わります。退避効果が高いため、侵入ルートに置いておくと、棲みついたばかりのネズミであれば逃げ出す可能性あります。
台所周辺に設置したい場合、わさびなどの食品を使います。有害成分が入っていないため、安心して設置できるなどの利点があります。
トウガラシの場合は、ネズミがトウガラシ内に含まれる辛味成分(カプサイシン)を嫌います。設置した場所には近づかなくなり行動範囲を制限できます。
乾燥させたトウガラシなら長期間腐る心配がないため、屋根裏や基礎下などの侵入ルートに仕掛けてみましょう。
防虫剤の効果はネズミにも
ネズミなどの害獣全般には、防虫剤も効果的です。とくに、樟脳(しょうのう)成分が入った防虫剤は樹脂系の強い刺激臭があるため、ネズミ駆除にも適しています。
防虫剤は、ゴキブリなどネズミ被害と併用して現れやすい害虫にも使用できるメリットもあります。
ネズミが好きな(大好物)食べ物を排除
人間の食べ物のほとんどはネズミにとっても食料となります。ネズミが食べられる状態で食べ物を放置してしまわないよう注意しましょう。
ネズミの好物は種類によって異なるため、住居に侵入しているネズミの種類を把握して駆除を行うことが大切です。
種類によって異なるネズミの特徴や、好物について見ていきましょう。
ハツカネズミ
ハツカネズミは体毛が黒や灰褐色などさまざまで、カビ臭に似た臭いを放ちます。体長は5~10cmと小さく、特徴としては耳が非常に大きいことが挙げられます。
ハツカネズミの好物になる食べ物は「植物」「ソーセージ」などです。
クマネズミ
クマネズミは、鼻先が細く灰褐色の体毛を持つ点が主な特徴です。
体長は15cm~22cm程度で、ネズミ被害を起こすネズミのなかでは中型の部類に属します。クマネズミの好物は、米やイモなど糖分を多く含む炭水化物が中心です。
ドブネズミ
ドブネズミは、黄味がかった褐色の体毛を持ち、鼻先が丸くなっている点が特徴です。また、短めのしっぽも特徴と言えるでしょう。ドブネズミの好物は、肉や魚介類などのたんぱく質を多く含む食べ物です。
侵入しているネズミの種類を把握できると適切な駆除対策を行いやすく、労力やコストを省けます。ネズミの種類を判別できない場合は、比較的どのネズミにも好まれる「パン」を使った罠が効果的です。
一度入ったら出られない仕様のゲージ型捕獲機を使用することで、捕獲の可能性が高まるでしょう。
個人での駆除が難しいと感じたら、無理をせずにネズミ駆除の専門業者へ依頼するのがおすすめです。
まとめ
最後に、ねずみの嫌いなものについておさらいしましょう。
- ネズミ被害には、「ダニの繁殖」「病原菌の増殖」「建築物や電化製品の破損」などがある
- ネズミの苦手な音は、「20Hz~50Hz帯の超音波」や「天敵の鳴き声」
- ネズミが嫌う食品は、「チーズ」などの強い臭いを持つ食品
- ネズミの嫌いな匂いは、「ミントやハーブ」「わさびやトウガラシ」などの刺激臭
- ネズミの天敵には、猫、フクロウ、ヘビ、ハムスターなど多くの種類が存在する
- ネズミの大好物は種類によって異なるか、どのネズミもパンを好む傾向がある
ネズミは警戒心が強く比較的臆病な動物ですが、なかにはドブネズミのように好戦的な種類もいます。
興奮すると気性が荒くなり人間やペットへ噛みついてくる恐れもあります。ネズミに接近する際は革手袋を装着するなど細心の注意を行なってください。